今年もお世話になりました2017

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8thCD「沙羅双樹Ⅲ」レコーディング時 FEIスタジオにて

今年も本当に沢山の仕事をさせて頂きました。年明けすぐに8枚目のCD(1月11日発売)も出来上がりますので、来年は更に自分の思う形で、充実した活動を展開したいと思っております。
今度のCDが琵琶奏者としての初心の頃に立ち返るような作品になったこともありまして、どこか活動が一回りして戻ってきた感じなのです。来年は薩摩琵琶・樂琵琶がより良い形で両立して行くような気がしています。

笛の大浦紀子さん 大阪でのライブにて
思えば、弾き語りには全く興味が無かった20年前。只管琵琶の器楽曲(インスト)ものばかり作曲してはライブにかけていたのですが、元々中学高校から古文や歴史は大好きだったこともあって、とりあえず弾き語りもやってみるかという具合で始めて「経正」を舞台で唄いはじめました。実は「経正」を勧めてくれたのは、いつもの相方 笛の大浦典子さん。はじめは敦盛をオリジナルの形にしようと思っていたのですが「貴方には経正が似合う」とアドヴァイスを頂き、単純な性格ゆえにしっかりその気になってしまい、文学者の森田亨先生に歌詞を書いてもらって、自分で曲を付け、それが「沙羅双樹」の一枚目となった訳です。まあ今聴くと「よくもまあ」という感じで封印したいくらいなのですが、それも私の軌跡。こういう軌跡をちゃんと残せたのも今となっては嬉しいことです。

そして樂琵琶を手にしてから、古典雅楽曲や秘曲、敦煌琵琶譜など琵琶の原初の姿に触れ、琵琶を通してシルクロードから現代日本へと視線を向けることが出来ました。元々シルクロードには子供の頃から大変興味があったので、すんなりと入って行けたのですが、実は樂琵琶を弾くことを勧めてくれたのも大浦さんなのです。(右写真は近江楽堂の演奏会にて

正直最初に樂琵琶に触れた時「これは使い物にならない」と思ったものです。しかしながら、樂琵琶が目の前に現れたことが私の音楽と人生をものすごく豊かにしてくれた。まるで今迄で見失っていた片腕を取り戻したように、曲が次々に出来上がり、感性が日本から東アジア・中央アジア・アラブそして世界へと広がり、視野が本当に大きくなりました。

私は琵琶奏者としては一番早くHPを立ち上げ、Youtube そしてネット配信と、時代のツールを友人たちの助けでいち早く使ってきましたが、ありがたいことに私の楽曲も世界の方々が聴いてくれるようになり、更には台湾の演奏家が私の作品を何度もリサイタルで取り上げてくれました。樂琵琶を始めたことは私の音楽家としてのキャリアの中で本当に大きなことでしたね。樂琵琶による3枚のCDも素晴らしい軌跡となったと思っています。

また私はこれまでやってきて、どのような舞台に於いてもほぼ100%自分の作曲作品で仕事をさせてもらって、自分の音楽とその世界観を聴いていただいてきました。これを最初からずっと貫けていけたことが本当に嬉しく思います。
そしてそれを生業とするということが私の一番の趣旨ですので、伴奏の仕事というものをほとんどやったことがないのです。多くアーティストと共演はしてきましたが、それも伴奏の形ではなく共演の形だからこそ出来たのだと思っています。
邦楽の演奏家の中には演歌歌手のバックをやって喜んでいる人もいますが、単発の「お仕事」ならまだしも、私には全くもって理解が出来ないですね。ましてやそれを大得意に宣伝しまくっているようでは・・・・・?。有名人と一緒だったら音楽はなんでも良いのかな・・?。人のやり方は様々だと思いますし、否定もしませんが、少なくとも私とは全く違う所で音楽をやっているのでしょうね・・・・。

私はどこまで行っても、自分が憧れてきた音楽家が皆そうだったように、自分の音楽を迷い無くやって行くしかないと思っています。私にとっては、私の音楽を認めてもらってこそ音楽家として生きている意味があるというもの。お上手な技術ではなく、創りだしたものをこそ評価の対象として欲しい。それ以外はありえない!!!。
まあ私が演歌歌手のバックバンドで琵琶を弾くような仕事をやりだしたら、もう塩高はお終いだと思ってくださいな。

今年2月季楽堂演奏会にて

琵琶で演奏活動を始めて約20年、琵琶奏者としてリーダーアルバムを初めて出してから約16年、こんな感じでやってこれたのも多くの芸術家仲間に恵まれたお陰です。津村禮次郎先生も花柳面先生も、先輩だろうが後輩だろうが、古典を土台に持ちながら常に創造性を持って舞台を創り活動を続けている方々にご縁を頂き、且つ共演の形で声をかけてもらえたのが実にありがたいのです。
そして未熟な私にエールを送ってくれたリスナーの方々にも、本当に感謝しています。よく記事に登場するH氏も私の樂琵琶の演奏を最初に力強く応援してくれた方でした。そういう方々が居なければ、私は今までやって来れなかったでしょう。いつも自分でガツガツとやってきていますが、自分ひとりではどうにもならない。こうした先輩やリスナーの方々に育てられた、というのが今の私の正直な気持ちです。

日の出富士

世の波騒の中を生きていれば、当然上手くいかない事もありますし、何事も思い通りにはなりませんが、それでもなんやかんやと自分が思い描く方向に歩みが進んでいることは、実にありがたいことです。来年はCDも出来上がることですし、更に充実した活動をして行きたいです。

年明け7日には「新春邦楽セッション」

笛の長谷川美鈴さんのお声係りで、杉沼左千雄(尺八) 長谷川美鈴(篠笛) 塩高和之(琵琶)
早川由紀子(ピアノ) 落合康介(ベース、馬頭琴)という個性的なメンバーが集います。

10日は恒例の琵琶樂人倶楽部 薩摩琵琶三流派対決 
出演:塩高和之(薩摩五絃) 古澤月心(薩摩四絃) 石田克佳(薩摩正派)

12日は ピアノの早川由紀子さん企画のノージャンルセッション 
出演:早川由紀子(ピアノ) カイドーユタカ(コントラバス)小森慶子(クラリネット、バスクラリネット、ソプラノサックス) 塩高和之(琵琶)箕輪一広(Per)

28日は独自の世界を表現するパフォーマー坂本美蘭さんと、六本木ストライプハウスにて共演。
出演:坂本美蘭 (ダンスパフォーマンス+自作オブジェ/インスタレーション+自作録楽+演唱構成作詞)

    塩高和之 (琵琶)  米本実 (生体音響ポスト医療的自作機械、動体センサー音響 

30日は 小二田茂幸さん企画の「祈りの音 冬の音」を恒例の大久保のルーテル曲会礼拝堂で。
出演:小二田茂幸(ギター) 内藤眞代(筝) 松尾慧(笛) 塩高和之(琵琶)

   宇佐照代(アイヌの語り部)  高村BUN太(Per)

詳しくはHPのスケジュール蘭をご覧ください。年明けから色んな企画が目白押し。嬉しいですね。

麻布善福寺にて

今年も本当にお世話になりました。来年も是非是非御贔屓に。
良いお年をお迎え下さい。

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