先週は3本の舞台があり、それぞれに良い雰囲気で務めることができました。今週末からは九州、関西を回ってきます。いつも写真が無いのですが、SNSなどで紹介してくれた人も居るようですので、どこかで見かけましたらご覧になってみてください。
先ずは定例の琵琶樂人倶楽部。今回は源氏物語と琵琶ということでお話をさせてもらいましたが、まだちょっと自分の中で整理不足で、とりとめのない話になってしまいました。もっと時系列をはっきりとして、物語に込められた意味も明確に説明しないと駄目ですね。反省しきりではありますが、なかなか面白い視点が見えてきましたので、もっと自分なりに掘り下げていこうと思います。今迄自分でも埋まらなかった所が見えきたので、今後のレクチャーはもっと充実して行くと思います。
一番最初にヴィオロンでやった時の様子
次ぎは日本橋富沢町樂琵会。伊藤哲哉さんを迎えての「方丈記」の上演でしたが、こちらはとても良い雰囲気で演奏することが出来ました。この写真は一番最初にヴィオロンでやった時のものですが、今回は伊藤さんが僧形、私が色紋付という出で立ちで演奏しました。
昨年の兵庫芸術文化センターホールでの公演
こちらは昨年の公演。昨年はベースを入れたり、映像と組んだりして色んな形でやりましたが、やっぱり二人だけでシンプルにやるのが一番しっくり行きます。部分的にはまだ練り上げられていない部分もあるのですが、あまりかっちり作り込み過ぎるより、このくらいの自由さがあった方が良い感じがしています。このコンビでは今後も「方丈記」をやっていこうと思っています。

3つ目は成美教育文化会館にて行われた、ヴァイオリンの糸井マキさんと私とのジョイントコンサート。第一部が私、第二部が糸井さんという構成でやりました。直接共演は無かったですが、とても良い機会でした。壇ノ浦の弾き語りも、いつもとちょっと声を変えてやってみたら気持ちよく響いて、歌い終わった後の空気感はなかなかの緊迫感が漂いました。しかしこの演奏会にはどうしても一つの心残りと、大いなる反省がありました。
問題は2曲目の「風の宴」。この私の代表曲には、鶴田先生の作品「春の宴」を参考にした長いトレモロが前半にあり、そこが一つの聞かせどころなのですが、その大事な部分で右手が乱れ、トレモロが切れてしまった。こんな事は今迄に無かったことですし、あり得ないミスタッチ。自分でも愕然としてしまいました。技術が落ちたのか、練習不足か・・・・。第二部での糸井さんの完璧なまでのテクニックを聞きながら、何とも自分の力不足が悔しかったです。
この年になってもまだまだ未熟。とにもかくにも私の力の無さとしか言いようの無い考えられないミスでした。「風の宴」全体の演奏も大雑把な感じになってしまって、次の朝起きてもどうにも心がすっきりしない。技術そして精神の両面から今一度向き合わないといけません。今後の演奏にもこの経験を生かして行きたいと思います。

私のスタイルは何とか流の演奏ではないので、基準とするものが無い代わりに、一般の方が聴いて、とにかく音楽そのものが、他には無い魅力に溢れていてこそ聴いてもらえる価値があるのです。そういう音楽を常に作り出すのが私の仕事です。そのためにも予定調和なものでなく、リスナーの想像を超えるようなものを常に提供すべきだと思っています。しかしその音楽を表現する以前に、技術が追いつかないようではどうにもならない。
やればやるほどに高いクオリティーを求められるのが私に与えられた現実。またそれが実現できてこそ仕事にしてゆけるというもの・・・・。今回は全体としては上手く行ったとしても、本当に深く反省すべき演奏でした。
来週末は鹿児島そして大阪・京都とサロンコンサートが続きます。納得行かないものは後に残るのです。心残りのないクオリティーの高い演奏を目指します!!!。