絃はうたう2016

先月、今月と弦楽の素晴らしい演奏会に行ってきました。
先ずはこのブログではおなじみの中島ゆみ子さんの「中島ゆみ子と仲間達Vol.11」。先月、東京文化会館小ホールで行われた公演に行ってきました。

2016

毎年このシリーズは聞きに行っているのですが、毎回色々な趣向を凝らしていて聞きごたえがあります。今回は弦楽4重奏に加え、バスの薮内俊弥さんと郡司博先生率いる合唱まで加わって、いつになくヴァリエーションのあるプログラムでした。ヘンデル、バッハ、モーツァルトという、まあ定番の組み合わせなのに、この内容なら充分に楽しめますね。
中でもチェロの相棒エリック・ウイリアムさんとデュオでやった「ヘンデル=ハルヴォルセン:パッサカリア」が素晴らしかったですね。二人共にそのレベルは申し分ないのは判っていますが、このデュオは聞いていて、技術を超えた所にある何かが語りかけてくるような勢いがありました。
そしてバスの薮内さんの声が良いんですよ。とても深く響く声をしているのです。どれも良かったのですが、アンコールで歌った「峠の我が家」は日本語だけに、歌詞が直接飛び込んで来て、会場のお客様皆さん大感激の様子でした。日本語の発音も全く無理が無く、丁寧にしっとりと歌う姿勢に感激しました。母国語を大事にすることは歌の基本。最近はこういう素晴らしい中身を持った声楽家が出て来て、嬉しい限りです。

以前共演した時の様子 於:北とぴあつつじホール

中島さんは、いつお会いしても素直な感性で、音楽に、人に接するのです。それはそのまま音色に出ていますね。以前何度か共演した時も、何のけれんも無く、素直に音楽に相対している姿勢が印象に残っています。この素直さを今邦楽は忘れているように思えてなりません。音楽にとって何の意味もないような「肩書」を背負ったまま音楽に接している人のなんと多いことか。素直な心で且つ大きな視野を持つことは何事も大切ですね。

アンサンブルステラ

そして一昨日は、ヴァイオリニストの濱田協子さんが参加している、アンサンブル・ステラの公演を聴いて来ました。場所はルーテル市ヶ谷センター。ここでは私も演奏した事があるのですが、響きがちょうどいい感じで、今回も十二分に弦楽の魅力を堪能しました。プログラムはまず最初にスタンダードなハイドンの「日の出」。次はグリエールというあまり取り上げられることのない作曲家の作品でした。グリエール(1875年~1956年)は、いわゆる現代音楽の世代ですが、その作風は民族音楽の影響や、リムスキー=コルサコフの影響なども感じられ、聞いていてとても楽し
くなるような作品でした。普段聞くことの無いこういう作品に触れることが出来るというのも良いですね。知られていない素晴らしい音楽をどんどん聴いてみたい私にとって
は、嬉しい演奏会でした。
このアンサンブルステラは、結成20年、公演数ももう今回で27回目だそうです。皆さんなかなかのレベルで、気持ち良く絃の響きに浸れました。濱田さんはセカンドでしたが、トップの方が個性的な音色を持っている分、濱田さんの音色はとてもプレーンな感じで、そのバランスが良い感じでした。濱田さんのお人柄そのものという感じでした。

アンコールで演奏したボロディンの「ノクターン」もしっとりと染み渡るように響いてきて、弦楽の素晴らしさを体感しました。

sio16

こうしてレベルの高い演奏を生で聴くのは、何しろ素晴らしいことです。まあ快楽と言っても良いですね。日本の音楽ももっともっとレベルを上げて、日本人だけでなく、世界中の人に聴いてもらいたいのです。

さて今週末は「方丈記」の公演。上記写真のルーテル武蔵野教会にて、3月26日14時開演です。素晴らしい公演になるよう頑張ります!!

方丈記-s

© 2025 Shiotaka Kazuyuki Official site – Office Orientaleyes – All Rights Reserved.