遠州路を行く~シルクロードミュージアム独演会

先日の日曜日は、静岡県の磐田市にあるシルクロードミュージアムで演奏してきました。シルクロードといえば私の出番。とにかくシルクロードと名の付くものには反射的に目が行ってしまう性質ですので、今回のお話は有難かったですね。こここそ私がやるべき会場と思えました。

どんな感じの所かと思いきや、場所はちょっと意外なこんな感じの所。

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天竜川にほど近く、緑に囲まれたとても風情のある古民家で、江戸時代から建てられているとの事でした。何だか来週演奏する古民家ミュージアムみたいだな~~と思いながら展示を見せてもらうと、シルクロード関係のコレクションがびっくりするほどあって、さすが名前に恥じない内容だと納得!!。更には何千年という時を経た、ちょっと洋風の趣のある石の仏像など「手で触って下さい」というではないですか。子供のころからのシルクロードオタクとしては感激の時間でしたね。この手でしっかり悠久の時を実感してきました。

今回の演奏は久しぶりの独演会。祇園精舎を薩摩琵琶と平曲で唄い分けたり、樂琵琶で啄木を弾いたり、経正を語ったりとヴァリエーションのあるプログラムでやらせて頂きましたが、皆さんとても熱心に聞いてくれてありがたかったです。1時間半近くやりましたが、とにかくやり方次第で琵琶もじっくりと聴いてくれますね。もっともっと良い形を作って、琵琶を聞いて頂きたいと思います。
楽器を上手に演奏することもとても大事なのですが、それをどう聞かせるかはもっと大事。この部分が出来ないためにプロとして活動がままならない人がとても多いと思います。是非師匠となる人やベテランの方々はそういう部分こそしっかり生徒や後輩に教えていって欲しいものです。

そして帰りには浜松楽器博物館に行ってきました。

1前々から一度行ってみたいと思っていたのですが、やっと念願かないました。色々な国の民族楽器は勿論、さすがに浜松だけあって現代の楽器も充実しています。ローランドやコルグの初期シンセに混じって、初代のギターシンセが展示されていました。

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懐かしいですね。川崎遼やパットメセニーなどが盛んにギターシンセを使って活躍していた時期が、私の10代ぁら20代という青春時代(?)ど真ん中でしたので、最先端に憧れの眼差しを向けていた端くれとしましては、シルクロード同様、感慨深いものがありました。

150918-s_塩高氏

箱根岡田美術館にて

シルクロードの遺物や色々な国の民族楽器などに触れていると、私はとてもロマン感じます。このロマンを言葉で説明する事はなかなか難しいのですが、私は手が届かない古代の風にどうしても憧れがあり、また今を吹き渡る最新の風、そして次世代を吹き渡るであろう未来の風、それぞれに惹かれるようです。だから明治後期~大正時代辺りが最盛期だった薩摩琵琶は、楽器としてのの可能性をとても感じる反面、手が届かない程に古い訳でもないし、また現代、次世代に向っている風も感じられないので、流派の曲などに興味が持てなかったのでしょう。

逆に古代方ずっと受け継がれている樂琵琶を弾くのは正に私にとっては必然。樂琵琶を触れずして私の音楽はありえません。そして何よりも大切なことは、古代の再現をするのではないということです。古代のものを現代の社会や現代人の感性に向かってその音を響かせてこそ、古代の楽器や楽曲に命を吹き込むことだと思っています。そこに創造が無くては意味がありません。形をなぞった器だけの復元は資料以上のものにはならないと考えています。あくまで音楽として響かせる。ここの部分を失ったらもうその楽器の命は終わりです。だからこそ過去をしっかりと知り、勉強し、研究し、過去からの歴史を持受け継ぎながら、且つ現代という時代に根ざし、現代に、次代に向かって響かせるのです。それでこその命です。途切れたものでなく、ずっと継承されてきた命として、その最先端に私が居るのです。それが私の役目です。薩摩琵琶も同様、過去に囚われず最先端のスタイルを作り上げたいですね。

想いは古代へのロマンに乗って、次世代に向って何処までも飛んで行くのです。

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