毎日じめじめとして、楽器にも人にもうっとうしい日々が続きますね。
私は時間があれば(ひまに任せて?)、演奏会やライブ、映画、舞台等々観劇三昧なのですが、ここ数日に行ったものはかなりの高レベルで充実していました。皆さん一流のプロの演奏を聴かせてくれました。満足!!
先ずはメゾソプラノの保多由子さんのギャラリーコンサート。
保多さんとは去年から御縁を頂いているのですが、演奏を聴くのは初めてでした。保多さんはギターの鈴木大輔さんと組んで武満作品のCD等、色々と発表しているので、声楽ファンにはおなじみかと思います。今回は府中に縁のある画家5人の企画展での催しで、しかも弾き語りによる珍しい形での演奏でした。この5人の画家の内のひとり、保多棟人は保多さんの御主人でもあります。
幅広い選曲で、ヘンデル、武満、日本歌曲、シャンソンなど豊かな感性を聴くことが出来ました。場所が場所なので電子ピアノしか使えずやりにくかったと思いますが、高い技量と歌に対する柔軟な姿勢が良く伝わってました。改めて声というものの奥深さを感じました。さすがの歌唱でした。

ホセさんブログ http://ameblo.jp/jose-ari/
いや~年季入ってます。とにかく歌がいい味を出しまくっていて、どこまでも自然に自由自在に歌う姿が素晴しかった。こういう演奏は流派でお勉強しているだけでは出来ませんね。何十年もライブで鍛えたホセさんならではの魅力です。邦楽人に、こういう演奏を是非聞いて欲しいですね。歌手としてもかなりの実力とお見受けしました。そしてギターも歌っているんですよ。アレンジがいかしていて、スタンダードがこんなに格好良くなるとは、驚きでした。脱帽です。

日曜日にはいつもお世話になっているViの中島ゆみ子さんの演奏会を東京文化会館で聴きました。今回はカルテットの演奏に加え、弦楽8重奏という珍しい編成で、メンデルスゾーンの作品20番を聞かせてくれました。いつもながらケレンの無い、とても素直な演奏で、とにかく清潔感があって気持ち良い。中島さんの人柄そのものの演奏でした。アンコールではゲストの方を立てて、自分はセカンドに入り、チャイコフスキーの弦楽セレナーデを弾いてくれましたが、こういう配慮も中島さんならでは。全体が良く鳴っていましたね。素晴らしいハイレベルのアンサンブルでした。
月曜日はピアノの安藤紀子さんとViの田澤明子さんのデュオを名曲喫茶ヴィオロンで聴いて来ました。安藤さんとは何度も御一緒させてもらっていますが、田澤さんの演奏はしっかり聞いた事が無かったので、楽しみにしていました。田澤さんはサイトウキネンなどにも参加している第一級の演奏家ですので、クラシックファンなら知っている人も多いと思いますが、私が「独奏も聴きたい」とお願いした所、サービスで名曲メドレーなども弾いてくれまして、贅沢な時間を頂きました。さすがの演奏でした。安藤さんのピアノも一段と腕を上げたようで、気持ちの良いライブでした。

皆さん本当にプロとしての素晴らしい技量と、高い意識そして矜持、豊かな経験を持っている。それぞれの個性が煌めいていて、大変充実したハイレベルのプロの舞台を魅せてくれました。一流はとにかく凄い。観客を納得させるだけのものがある。一流の舞台に接する事は人生の幸せですね。
世の中には自称プロのような人も多く、演奏会に行って「本当にお金を取るつもりか?」と思えるようなものが実は少なくないのです。琵琶人ももっとプロとしての気概、矜持を持って欲しい。ちょっと上手だとか、賞や肩書きもらったとかいうレベルで喜んでいないで、世界に発信できるようなレベルの高い舞台を張れる人材が出て来て欲しいと切に思います。

今、世界が不安な要素をそこらじゅうに抱えています。戦争状態にある国も沢山あります。こういう時だからこそ其々の国の素晴らしい文化に目を向けて欲しい。自分の国に誇れる文化があれば、相手にもある筈です。力をぶつけるよりも喜びを分かち合う事を誰もが願っているでしょう。豊かな文化での交流がぜひとも必要です。愛を語り届けるのが我々音楽家の務め。今こそ本来の仕事をすべき時なのではないでしょうか。