先日、ミゼットアコーデオン&Voの早坂華織さんとキーボードの岡田清光さんのデュオ「Poison」のライブに行ってきました。

このお二人とは横浜の赤レンガ倉庫での劇団アドック公演で共演して以来、何かとお付き合いがあったのですが、Ac&Voの早坂さんは3年前に癌で入院し、それ以来会っていなかったのです。しかし見事な復活を遂げ、その歌声は以前より増して輝いてました。終演後は思わず抱き合って喜んでしまいました。特に最後に歌った「慕情」は感動的な歌唱で、「こんなに上手かったっけ」と思わせる位、声量も前より上を行っているような見事なものでした。仲間の元気な姿ほど嬉しいものはありませんね。
ここ数年、私の仲間達、先輩達が次々に虹の彼方へと旅立って行きました。其々の与えられた運命だったのだと思いますが、やはり残された人間にはなかなか乗り越えられないつらさもあります。それだけに早坂さん(カオリンといつも呼んでます)の復活は嬉しかった。
色々な分野に触れ、多くの方々と接しているからこそ、自分というものが客観的に見えると思う事が、この所多くなりました。「離見の見」という言葉は日々の中でも思う事が多いのです。左の写真は先日の阿佐ヶ谷ジャズストリートでの一コマ。久しぶりにジャズギターで参戦しましたが、(フルートは吉田一夫君)いつもとは違った面から自分が見えて、改めて琵琶人としても自覚が持てました。いろんな仲間が居て、様々な声に囲まれているからこそ、自分というものが見えてきます。何か一つの世界しか見えていない状態では、自分が何者なのかなかなか解りませんし、発展して行きずらいものです。自分とは違う多くの個性、感性、もの、世界に触れる事によって、音楽家は己を見つめ、より多くの素晴らしい音楽生み出して行けるのだと思います。

私が何か行き詰まっている時には、大概視野が狭くなって、小さな世界から抜け出せず、思考が硬直している事が多いです。音楽家は経済的な面も含め、音楽以外の多くの事と戦いながらやって行かなくてはいけません。舞台で失敗する事もあるし、食えなくて泣く泣く楽器を手放すこともあります。しかし幸いにも私には本当に多くのジャンルの仲間が居て、彼らは私に無いものを皆持っているので、彼らと話をしているだけで視野が開けて来るのです。そんな仲間のお蔭で何とか今でやって来れました。
最近は色々な方と再会したり、共演したりすることが何度となく続いています。また私を支えてくれる方々の温かさを感じる事も沢山ありました。本当に人間というのは色々な人と関わり、そのアンサンブルの中でこそ生きているのだな、と実感する日々です。

さて、今週は大久保のルーテル教会で、郡司敦君の曲を演奏してきます。久しぶりにViolinの中島ゆみ子さん、Celloのエリック・ウイリアムスさん、Pianoの西尾杏子さん、筝の中島裕康君、そして尺八の田中黎山君と共演です。
日々色々な仲間の声に囲まれて本当に嬉しく思います。そしてまた私も仲間達のにとって一つの声でありたいと思うのです。