秋雨の音

この所雨が続き、急に寒くなりましたね。

月5

秋の雨は詩情もたっぷりありますが、なんとなく寂しい気分にもなります。鬱々とした雨は心のどこかの部分にうったえるようで、静かであってもなかなか心
が落ち着かない事も多いものです。様々な事が沸き起こる日々の営みの中にあって、自分の行くべき道を迷わず淡々と進む事はなかなか難しいですね。

kominka-live2013そんな日々ですが、先週は毎年恒例の北鎌倉古民家ミュージアムで、樂琵琶と笛の演奏会をやってきました。こういう時期はつくづく絹糸というものの繊細さに気が滅入りますが、倍音もテトロンと絹ではその豊かさがまるで違うので、やっぱりいくら大変でも絹糸を選んでしまいます。
湿気は天敵とはいえ、こういう時にこそ私の腕の見せ所。それに色々なヴァリエーションの曲を聞かせるのが、このチームREFLECTIONSの持ち味ですので、これからもめげずにどんどん演奏していきますよ。多分今後は薩摩琵琶より樂琵琶の演奏の方が増えてゆくと思います。ぜひご贔屓に願います。

そして次の日曜日には屋形船での演奏でした。残念ながら十六夜の月は見えませんでしたが、内田丸三遊亭鳳楽師匠が司会をしてくれたおかげで、いい感じで盛り上がりました。この会はもう30年も続く「日本の酒と食の文化を守る会」が主催するものでして、老舗の蔵元の方々がご自慢のお酒を持ってきてくれましたので、私もあまり固い事を考えずに楽しむつもりで演奏してきました。勿論旨い日本酒をたっぷり頂いてきましたよ。たまにはこういうのも良いものですね。

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今秋は詩情を感じる間もなく飛び回っています。今週末は新潟のお寺 雲洞庵で演奏会。上杉景勝 直江兼続にゆかりの古刹でたっぷりと語ってきます。更に月末は、和久内明先生脚本による戯曲公演「越の良寛」。能シテ方の津村禮次郎先生との共演です。そして月空けすぐには、フラメンコの川崎さとみさんの芸歴30周年のリサイタルがあり、新宿のエルフラメンコで「Sirocco」を弾いてきます。その間にも定例の両国の楽琵会、地元での琵琶樂人倶楽部、そして江戸手妻と相変わらずめまぐるしく仕事をして参ります。
こうして考えている暇なく、演奏して回っているのが私の人生。私は今自分がここに在るという事は色々な縁に囲まれているからこそでしょう。生かされているなどというと優等生的ですが、私も年を取ったのか、そんな言葉を想い、吐くようになりました。
生前H氏が言っていたような「愛を語り、届ける」程の人間には、私は到底成れそうにないですが、少なくとも私を取り巻いている縁に対し感謝を忘れないようにしたいものです。

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さて、感傷に浸っている暇はありません。ヴォルテージ上げて行ってきます。

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