熱狂的声楽愛好のススメXV~「仮面舞踏会」

  少し前になりますが、Met Live viewing「仮面舞踏会」を観てきました。

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たっぷりと堪能しましたよ。私の大好きなバリトン ディミトリ・ホロフトフスキーが何といっても格好良かったです。独特の発声法による図太い声、ゆるぎない凛とした姿。実にすばらしい!!ステファニー ブライス
そして今回は、圧倒的なメゾソプラノ ステファニーブライス(写真右)が凄い。凄い!。声量・太さ・歌唱力がずば抜けているのは勿論なんですが、出てきただけで場をかっさらってしまう存在感は、観ていて気持ち良いです。ぜひホロフトフスキーと共に生の声を聴きたいです。

ホロフトフスキーのアリア
             

ストーリーは実際にスウェーデンで起きた事件を元にしているのですが、ヴェルディらしい、人間心理を巧みに描いた作品です。前回見た「ジョコンダ」と違うのは、場面のヴァリエーションが豊富な所でしょうか。さすがに人気の高い演目だということが判ります。また各出演者がソロで歌うアリアも素晴らしいのですが、重唱になる部分もいくつもあり、そのアンサンブルの見事さにも感激でした。さすがに世界の一流。選ばれし者達です!そしていつもながらMetは観せ方、魅せ方が上手い!心得てますな。

他の出演者では、王グスタヴ役のテノール マルセロ・アルヴァレスも良い声をしているし、三角関係で悩むキャスリーン キム人妻アメーリア役のソンドラ・ラドヴァノフスキーもヴェルディ作品では有名なだけに、大変レベルが高く、聴きごたえがありました。また今回はグスタヴの従者オスカル役をやったキャスリーン・キム(写真左)がナイスキャラでいい感じでした。いわゆるズボン役なのですが、男か女か判らないキャラ設定が小柄な彼女にぴったり。映像ではこんな感じでした。勿論歌唱の方も素晴らしい技術で、演技の方も秀逸でした。

            

やっぱりオペラは華やかです。邦楽でもぜひこの華やかさが欲しいですね。お祭り的なただその場を盛り上げるだけのものではなく、その魅力に日本人のみならず、世界の人々が惹きつけられるような、華やかで且つクォリティーの高い舞台がもっと沢山生まれて欲しい。邦楽には今変化が求められていることは確実だと思います。
残念ながら邦楽全体には、素晴らしい曲をどう聞かせ・観せるかという「プロデュース」という意識が低過ぎる。未だに上手とか、正当とか、そんなお稽古事レベルの競争をして、小さな村に閉じこもっている。

世の中は常に変化しているのですから、今や世間の誰からも理解されないような慣習・やり方はもう変えましょう。世の中と共にあるのが音楽の使命ではないですか!。古典(似非古典ではなく)を勉強し、その土台を持って、現代の日本音楽の舞台を創造しよう!!

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それにしても、こういう素敵な舞台を観終わった後は、気持ち良いですね。私もこういう仕事をしてみたい。私が出来ることは限られていますが、広い視野と大きな
器を持ったプロデューサーとぜひ一緒に組みたいですね。オペラの真似をするのではなく、あくまで我々独自のやり方で、世界に発信できるよう
な音楽・舞台に関わって行きたいものです。

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