Shakkyou

この所何かと忙しく、なかなか舞台を観に行けない日々が続いているのですが、先日ちょうど時間が取れたので、セルリアンタワー能楽堂で行われた「石橋~Shakkyou」を観に行きました。久しぶりにぐさりと来るものを観ました。

        Shakkyou公演チラシ

前半の能の「石橋」を半能でやり、休憩後の後半は森山開次の作になる「Shakkyou」という組み合わせ。「Shakkyou」は「石橋」から触発されて作られた作品です。
能を観に行くのは久しぶりでしたが、あの凛とした空気感・静寂感はやっぱり良いですね。謡の言葉も今なら難なく聴き取れるので、実に面白いです。歌舞伎の賑々しいエンタテイメントも好きなのですが、やはり私には能の方がしっくりきます。

さて、後半の「Shakkyou」ですが、能からは津村禮次郎、笛の松田弘之。そこに和太鼓の佐藤健作、そしてダンスの森山開次という布陣。津村・松田のお二人はさすがにすんなりと入ってきたのですが、森山、佐藤の二人が上半身裸で登場した時には、能楽堂という場所では、正直何とも違和感を感じました。    パンフレットより

二人の動きも最初は、余計な動きが多過ぎるように感じたのですが、それもラストのクライマックスに向けての序章だったのです。舞台が進行して行くと、次第にその存在感がふつふつと沸き立ってきて、最後には二人が圧倒的な迫力を持って舞台を席巻しました。                                        

とにかくこの4人に共通している事は、とんでもなく高い技術を持っているという事です。そして揺るぎない明確な世界観を共有している事です。改めて舞台人としての存在感というものを魅させて頂きました。
私は音楽家として、ダンスや舞の舞台はそれなりに接してきましたが、これほどのレベルのものは初めてでした。特に森山のダンス森山開次2は危機迫るものがありました。ただ技があるというだけでなく、ほとばしるような熱さや意志に溢れている。ぎりぎりの所まで自分を追いこんでゆく時にこそ現れる表現、これは単に上手いとか、見事とかいうものとは違う次元の凄さがあったのです。見ていて、いつしか余裕を持ってやっている自分の姿を感じて来ました。私は30代の頃、かなり自分を追い込むようにしてやっていたのに、今はある意味余裕の中でやっている。これでいいのだろうか・・・。改めて立ち返りたいという気持ちが震い立ちました。
今回は強烈なパンチを食らいました。それはもう嫉妬する位に凄かった。勿論この舞台も更なる洗練は必要でしょう。彼もこのままではいられないでしょう。でもそんな所をはるかに超えていました。

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私は舞台に立っている以上、一流と言われるものを目指したい。まだまだその夢は遠い。果てしなく遠い。しかし遠くても、夢であっても、ただひたすら己が考える最高のものでありたい。琵琶の従来の価値観等どうでもいい。最高の舞台を張って行きたいのです。

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