雪景色の記憶2013

昨日は凄い雪になりました。成人式の方は大変でしたね。久しぶりの大雪でした。

        

私の家の居間には大き目の窓が有るのですが、昨日はブラインドを目いっぱい上げて、雪の降る様を眺めながら、自慢のチューブアンプJUDO J7(作者による改造を施してある逸品物)に灯を入れて、朝からずっと音楽を聞いていました。やっぱり手をかけた再生装置は良い音がしますな。私はイヤホンなんかでは絶対に音楽を聞きかないのです。古い人間ですいません。

ディースカウこんなにゆっくりと音楽を聞くのもそういえば久しぶりです。降りしきる雪がこんな気分にさせたのか、心に音楽が沁み渡り、満ちた時間でした。コワルスキーせっかくの雪の日ですので、ディースカウの「冬の旅」からはじめて、ドミンゴ、コワルスキー、スラヴァ、グルベローヴァ、シュトゥッツマン、オッターと声楽ばかり延々と聴き入ってました。

そして最後は、どうしてもいつもここに行きついてしまうという私の定番、ぺルトの「タブラ・ラサ」。中でも「フラトレス」という曲ではクレーメルの極限に佇むようなViが叫びとなって我が心に深く深く突き刺さります。あの世界に意識が完全に飛んでしまいました。

音楽の背景には哲学も理論も歴史もあります。音楽を生業としている以上、それらはしっかり勉強すべきだし無視は出来ないのですが、中にはそんな理論や歴史等学問・教養の方に走ってしまい、芸術の、音楽の、官能とロマン、そして感動を忘れてしまう人も多いですね。邦楽には今、ちょっとそんな人が多すぎるような気がします。大変残念です。
是非こざかしい知識や経験は置いといて、頭も手も空にして音楽に接して頂きたいものです。先ずは官能を心に刻まなくては!!お勉強はその後で。

バンヘイレンナタリー・デセイ能
    Met劇場

今こそ、この混迷した現代にこそ垣根を越えて魅力ある音楽を聞こう。長い歴史の中で人類が連綿と育んできた芸術・音楽は、我々を在るべき姿へと回帰させてくれるものだと思います。理屈は後で勉強すれば充分。こだわりも、何も捨てて溢れるばかりの官能に満ちた舞台を観よう。そこに全身を浸し、味わおう。そんな想いを強くした一日でした。

「音楽は叫びと祈りである」黛敏郎

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