少し前後しますが、先週の日曜日は丹沢の水眠亭にて演奏してきました。
水眠亭HP http://www.suimintei.com/
水眠亭は、川辺の廃屋をオーナーの山崎史郎さんがコツコツと自分で直し、自身のアトリエとサロンに作り上げた素敵なスペースです。山崎さんは本職がジュエリーデザイナーですが、万華鏡の作家でもあり、また茶道具も作り、蕎麦も打ち、俳人でもあり、ベースも弾くという実に多彩な方で、その世界はどこまでも広がってゆく方なのです。
私は尺八の中村仁樹君の紹介で行ったのですが、山崎さんとは共通の知り合いも多く、またオーディオにも詳しいし、蕎麦好きだし、もうあまりにかぶりまくっているので、すぐに話が弾み、いきなりビールを飲みながら話し込んでしまいました。
私は元々、都会よりこうした山の中が好きな方で、ほっておくと鴨長明や西行のような隠遁者なってしまう性質なので、場所からしてすぐになじんでしまいました。次の朝から南相馬に行く予定だったので、夜は最終ぎりぎりで帰りましたが、次は必ず泊りがけでがっつり飲み、語り合いたいです!!
今回のプログラムは平家物語の弾き語りでしたが、ここはフリージャズの方もよく演奏している所なので、私の1stアルバムを持って行ったら、ドンピシャ大好評でした。私の原点であるこのアルバムが解ってくれるというのは嬉しいです。特に私の代表曲「まろばし」とチェロの翠川敬基さんが入った「太陽と戦慄 第二章」は、このスピーカーで聴くと素晴らしい迫力で、自分でもちょっとびっくり。次回は中村君も一緒にバリバリセッションしたいと思っています。
山崎さんはじめ、今回のお客様と語っていて思ったのは、音楽がもっと色々なものと呼応すべきではないか、という事。以前、田中眠さんが水眠亭で踊った時、川の中から登場したと聞きましたが、ここには川があり、山があり、そして何よりも闇がある。都会には川や山はもちろんですが、闇というものが無い。街灯が月の明かりを遮り、アスファルトが地の声を絶つ。そう、都会は闇を忘れてしまったのです。闇の無い所に本当の光も、自然の声も無いのです。
水眠亭には闇がある。地、水、月光、そして陽光がある。自然の声に囲まれているのです。ここに集う人々は、肩書きみたいなつまらないまやかしも持っていないし、ネットに振り回され、狭く小さな世界でカッカしている人間も居ない。生身の体から湧き出る音楽があり、言葉があり、触れ合いが溢れていました。
久しぶりに気持ちの良い空間で演奏出来ました。是非また行ってみたいです。