Met Live Viewing今季最後の作品「椿姫」を観てきました。
泣けましたね~~ドラマですね~~。ヴェルディの作品は、私にはすんなりと入ってくるみたいで、今回も大満足でした。
主演のヴィオレッタ役はナタリー・デセイ。オペラ歌手にしては小柄ですが、PPPまで歌い切る歌唱力が光っていました。迫力系ではなく、どこかはかない感じで、役柄の内面が良く表れていて、役柄と彼女のキャラがぴたりと合っていました。
相手役のアルフレードにはマシュー・ポレンザーニ。この人の声には惚れましたね。リリックテノールといわれる大変艶の有る声質。加えて確かな歌唱力。素晴らしかったですね。久しぶりに声に酔いしれるテノールを聞きました。もう一度聞きたい!
そして、「エルナーニ」でも活躍したディミトリ・ホヴォロストフスキー
相変わらずのずぶといバリトンで、圧倒的な迫力でした。あの声はいったいどうやって出しているんだろう??是非是非生で聴いてみたいです。存在感も十分で、銀髪の髪が今回も決まっていました。
毎度のことですが、とにかくMetは其々の役に合った個性を持つ歌手が揃っている。主演のナタリー・デセイも、ままならぬ運命を生きるヴィオレッタそのものに見えてくるのです。もちろんアリアもたっぷりと楽しめました。定番の「乾杯の歌」はもちろんのこと、中でもホヴォロストフスキーが歌うジェルモンのアリア 「プロヴァンスの海と陸」
「プロヴァンスの海と大地を、誰がお前の心から奪ったのだ?
故郷の輝かしい太陽から、いかなる運命がお前を奪った?
苦しいのなら思い出せ、そこでは喜びに包まれていたことを」
ぐっときましたね。
そして最期にアルフレードの腕の中で息絶えるヴィオレッタの姿を見ていたら、涙がすーと頬を・・・・・。愛とは、人間とは、社会とは・・・・。Metの解説には「ヒロインの悲しい運命に寄り添うカタルシスを味う」とありましたが、、、「泣けるオペラ」でした。
明日は平家物語の「敦盛」を演奏するのですが、このオペラのように、ストーリーを越えて聴く人に何かが伝わるような演奏をしたいものです。
見事な芸も大事ですが、それを見せているだけでは物足りない。その先がなければ!!
邦楽は未だ、見事な練れた芸を見せる聴かせるという所に留まっているような気がしてならないのです。
「おまえは何を描くのか」、そここそ問われていると常に感じるのです。