昨日、練馬光が丘美術館にて「三種の琵琶楽」をやってきました。今回は薩摩四弦・五弦・筑前に加え平家琵琶も加わり、四種の琵琶楽となりました。
これが光が丘美術館入り口
今回出演の面々
会場となった光が丘美術館は私設美術館だけあって贅をつくした素晴らしい空間でした。木のぬくもりがあって、気が落ち着いている素敵な美術館です。ぜひお勧めしたい場所です。
展示は井上員男さんの平家物語の場面を描いた版画の屏風。これがまたものすごい作品でして、緻密な作業を12年間も費やし完成した大作でした。さらに会場の壁を全て覆い尽くすほどの作品が並べられ、さながら展示室が平家絵巻のような状態になっていました。
その作品の前で夫々がソロで平家物語を語る、という贅沢な催し。私は十八番の「経正」をやらせていただきました。
色々な形の琵琶楽を聞いてもらうというのは、毎月開催の琵琶樂人倶楽部でもやっていますが、4人も揃うというのはなかなか無いです。ましてこういう素晴らしい空間で出きるというのはやる方としても幸せな事です。
ただこういうイベント系の催しだと、ゲスト出演ということもあり、得意曲をやって満足してしまう事も多く、盛り上がって終わってしまう事が多いのも事実。もちろんいつもの演奏と気合は全く変わらないし、それはそれでしっかり勤め上げるのがプロというものですが、呼ばれる事ばかりに慣れてしまって、充実した自分の舞台を確かに作ってゆくことも忘れてはいけません。気持ちよく演奏出来た会ほど、しっかりと反省も必要です。
技を磨くのは当たり前。得意な曲を並べているような状態はアマチュアの発表会です。充実したコンテンツを舞台の上でどのように乗せて、舞台全体を作っていくか、それが出来て初めてその人の世界というのが表現され、認められてゆくのです。与えられた舞台にも、自分の活動全体にも明確なヴィジョンを持って、実践してこそギャラを頂けるというものです。
photo MORI osamu
これは京都鷹ヶ峰の源光庵の悟りの窓です。季節が変わっても常に視点はぶれる事がなく、季節がもたらすありのままの姿を現してくれます。綺麗だの、素敵だのと一喜一憂している我々の揺れ動く心が、逆に見えてくるようです。
目の前の事に一生懸命に成る事は良いことですが、振り回されていては大した仕事が出来ません。ただ熱くなって自己満足しているだけです。ぶれる事なき明確なヴィジョンを持って、且つ柔軟に、変わり行くものをありのままに受け入れるそんな心持でやって行きたいものです。