師走の空

2020ー12セルリアンイナンナ1先日のセルリアンタワー能楽堂での「東西の冥界下り」は賑々しく終えることが出来ました。盛りだくさんの内容で、上演も5時間に渡って(勿論休憩をはさみながら)の公演でしたが、無事に上演が出来嬉しかったですね。

年内は25日に「耳なし芳一」の新たなヴァージョンの収録と、27日にJCPM(japanese culture promotion and management  https://www.jcpm.jp/)の企画による収録の2本で終了です。今年は春から、とんでもない状況でしたが、色々と声をかけて頂き、良いお仕事をさせてもらいました。実現しなかったことも数々とありましたが、その分見えてきたことも多かったですね。

ここへきてコロナウイルスの状況も新たな変化が出て来ました。もうこれからは今までの延長としての未来を考えることが出来ませんね。変化の速度もあまりにも急で、色んな物事が想像つかない速度で変化して行ってます。ここ数年よく言われている「2045年シンギュラリティー」も、もっと早い段階で迎えるでしょうね。
こういう事態の中にあって、どうすべきかなんてことは私には全く判りません。この先の自分に与えられた運命は判りませんが、どんな事態になっても生きて行くという事だけは確信しています。


1ギャラクシティープラネタリュウムドーム
演奏会は当分通常のようには開けないでしょうね。左の写真は今年の2月にやったギャラクシティープラネタリュウムドームでの写真ですが、この時は、終演後の打ち上げ会場で、代表の方に「来週から休館にするよう」運営本部から電話がかかって来ました。間一髪での上演でしたね。来年も1月23日にギャラクシティードームで「銀河鉄道の夜」をやる予定なのですが、ちょっと心配です。
出来る事なら来年は是非作品を録音して残しておきたいです。「四季を寿ぐ歌」の他にも色々と録音しておきたい作品が溜まってきました。その為にはもっと譜面も今一歩詰めて書き込んでおかないといけないし、アンサンブルの方も充実させないといけないのですが、集まって練習することが出来るかどうか・・。録音しておきたい作品はいくつもあるので、何とか実現したいですね。

このところ昼間の天気は良いし、朝陽が射してくる時や、夕暮れ時の美しさには、毎日感激しています。この穏やかな姿と、目に見えないコロナウイルスという真逆の日常からは、様々な想いが湧き上がり、渦巻いてきますね。コロナウイルスは、自然と共に暮らすことを忘れてしまった人類への警鐘とも言われていますが、私の頭で考えても現代人の暮らしは、随分と歪んでいるように思います。今後Aiによりすべてを管理されてゆく世界へと歩みを進めるのか、それともAiを活用しながら、有機体としての人間本来の姿を模索するのか・・。

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新宿区主催の「小泉八雲生誕170年記念『漱石と八雲-文豪たちが見た世界と日本』~能で味わう漱石・八雲の世界」の舞台より能楽師の安田登先生、笙奏者のカニササレアヤコさん、私


これからは芸術家が、その方向性を示して行くだろうと私は思っています。ネット配信で世界と一個人の音楽家が繋がっているように、今後は個人と世界が、国境の隔たりを感じることなく繋がって行くようになるでしょう。経済の在り方も政治の在り方も、国単位では考えられなくなるでしょうし、お金の在り方ももう変わりつつあります。
そう遠くない将来、人間の命の在り方も変わってくるのではないでしょうか。既に人間から「老い」というものが無くなりつつある、なんて研究も世間には知られていますが、トランスヒューマニズムがどんどんと加速して、肉体という概念も大きく変わって行くことと思います。これまで人類が辿って来たものとは違う人間の在り方が、もうすぐ目の前にあるのです。

伎芸天m

技芸天


こういう時代に在って、従来の枠を超えて先頭を切るのは、芸術家しかないのではないでしょうか。これが「風の時代」という事なのだと私は考えています。従来の国家、人種、イデオロギー、会社、性別、年齢、格差etc.などは、もうこれからはどんどんと曖昧になるだろうし、既にそんな所を超えている人は沢山居ます。特に芸術家には既に実践して生きている人が多いのは皆さんご存じの通り。
本来古典、特に能などでは、時間も性別も身分も超えた世界が描かれています。そんな崇高な芸術が既に日本には室町時代からあったのですから、もしかすると次の時代を示して行く芸術は、日本から生まれるのかもしれませんね。目の前の小さな事に囚われず、大きなヴィジョンと実行力のある邦楽人を望むばかりです。

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photo 新藤義久


今年は年賀状を出すのをやめました。私はお陰様で何とか過ごせましたが、とても「明けましておめでとう」という言葉は、今吐くことは出来ません。
新たな時代が見えてきた時、皆に何かしらの挨拶が出来たらいいですね。


「漱石と八雲」新宿区

先日の新宿区主催の「漱石と八雲」はYoutubeにて動画が公開になっています。ご覧になって観てください。


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