異常なまでのGWも終わり、世の中が動き出していますね。これが今後どういう展開になって行くか、私には到底判りません。しかしウイルスを警戒することは何よりも重要であるものの、海外ではロックダウンによる自殺率の急上昇も報告され、コロナ以外での死亡が問題となっていることもありますので、もっと社会全体を見て判断する姿勢が必要なように感じています。大都市以外では緊急事態宣言も解除になるとの事。是非良い方向に行って欲しいですね。
2019年あうるすぽっと 能楽師 安田登 浪曲師 玉川奈々福 各氏と
先日、某所で小さな会をやってきました。まあ本格的な演奏会をやる段階ではないので、リスナーも限定された少人数の極々プライベートなものだったのですが、2月の終わりからもう2か月以上舞台が無い状態だったので、楽しかったですね。琵琶もびゅんびゅん鳴ってました。今回は歌の曲は飛沫が飛ぶので遠慮してほしいという事で、独奏曲とデュオによる曲のみでしたが、「器楽としての琵琶樂」をいつも掲げている私にとっては「お任せあれ」という感じで、久しぶりに気持ち良く演奏させていただきました。
「沙羅双樹Ⅳ」レコーディング時 Viの田澤明子先生と
今月の琵琶樂人倶楽部は残念なことに中止になったのですが、来月は開催も第150回目となり、ゲストにはCDでも共演しているViの田澤明子先生をお呼びして
います。新たな門出として充実したものをやりたいと思っております。

一方日本橋富沢町楽琵会の方は残念なことに、現在開催のめどが立たず、とりあえず秋までは何も出来ません。詳細が判り次第またご報告させていただきます。右上の写真は2月の日本橋富沢町楽琵会のもの。筑前琵琶の鶴山旭翔さんと充実した素晴らしい会をやることが出来ました。
しかしこれだけ家に居る時間があると曲創りには良いですね。普段から私は、「ぶらぶらしているようにしか見えない」と言われているんですが、有り余るほどの余裕があればこそ、創り出せるものもあるんだ、というのを確信しました!。音楽的な部分に関してだけ言えば、この籠城生活は何か与えられた時間という感じがしないでもないです。
これまでやっていた弾き語りの小品を3曲ほどブラッシュアップして、洋楽器とのデュオ曲を2曲(バラードとオリエンタルムードのもの)、そして独奏曲1曲(伝統的な都節音階によるもの)がほぼ完成しました。後デュオによる現代曲を1曲創って、独奏の現代曲「彷徨ふ月」を今一度見直したいと思っています。
ここ何年も、弾き語りの企画公演でない限り、自分で歌う曲は、プログラムの中で1曲だけにしてきましたが、今後は更に徹底して、器楽オンリーのプログラムを確立したいと思っています。声を使うのであれば、歌手や語り部を1曲ゲストに呼ぶ位がいいですね。とにかく「器楽としての琵琶樂」をさらに推し進めて行こうと思っています。この籠城生活は、そうした私のスタイルを創り上げ、今後の私の活動へとつなげる為にも大切な時間となっています。
島根グラントワにて 語り部 志人さんと
常にNext Oneを追い求める気持ちがないと、音楽家は生きて行けません。得意なものをやって満足したらもう終わり。活動を次へと展開するためにも、一つのものに固執しないことですね。過去の成功例を追いかけていたら、次の時代へと続くものは創り出せません。音楽家でも学者でも、自分が一度創り上げ得たものを手放せない人がほとんどです。上手な人ほど、頭の良い人ほど、偉い人ほど、その姿は顕著に外側に現れてしまうものです。それがその人の器であり、一流となる人と、二流三流で終わる人の差でもありますが、どこまでできるかは別として、出来るところはどんどんとやって行こうと思います。
そして物事を持続させて次世代へつないで行くには、多様性を受け入れる事が、とても大きな要因となります。料理人でも、先代の味を追いかけ、先代のお客さんだけを見ていたら、サスティナビリティーはほとんどありません。師匠と同じでないとだめだとなったら、音楽でも料理でも師匠の命と共に滅ぶしかありません。自分の中に於いても多様性を受け入れるという姿勢は必要です。
素晴らしい先達は沢山います。しかし受け継ぐのは核の部分だけでいい。音楽においては、受け継ぐものは言い換えれば「匂い」のようなものだと私は思っています。技でも曲でも師匠そっくりな人を多く見かけますが、そのほとんどに「匂い」を感じたことはありません。系譜というものは、いくら名前を付けようが何だろうが、形で繋がるものではないのです。
今、世界は先代の轍の上を行くか、それとも新たな道を行くか、どちらに向かっているのでしょうか。ラテン語の格言に「私は道を見つけるか、さもなければ道を作るであろう」というものがありますが、生きて行くという事はそういう事ではないでしょうか。これまでの様に大国の懲りない覇権争い、それによる地球環境の壮絶なまでの破壊、資本主義、ショウビジネスやエンタテイメントという名の幻想と洗脳・・・。これからも依然としてこれまでと同じ道を進みつづけ、その中でお金やステイタスを求めるように誘導され、相変わらず迷いの中を蠢いていたいですか?。それとも次世代へとつなげる別の道を選択して自分本来の生を全うしたいですか?。コロナウイルスはそんな現実を突きつけてくれましたね。
私は私の道を作り、そろそろ始動します。