過ぎゆく日々2016新緑

暖かくなりましたね。外はもう新緑に溢れ、眩しいほどに生命の息吹を感じさせてくれます。この時期はすっかり花粉の心配も無くなり、一応語り物をやる身としては、存分に声を使うことも出来るし、街が緑に囲まれて、暑くも無く寒くも無く実に気持ち良いですね。

高円寺大道芸_visual私の住む杉並は、とにかくイベントお祭りが一年中目白押し。特に若き日20年に渡り住んでいた高円寺は年々街全体がパワーアップしていて、今では大イベントが年に4つもあります。先日も大道芸フェスがあったばかり。凄い人出でした。名前の通りびっくりする芸からクスクス笑ってしまうもの迄、たっぷり楽しんで来ました。それにしても活気なんて言葉では表せない程に高円寺パワーは凄まじい。こういう街に導かれて住んでいたのも何かの縁ですね。
そして現在の我が街阿佐ヶ谷もジャズの街として、七夕祭り以外に大きなジャズフェスがあり、ここ数年私も参加しているのですが、この他にも小さなイベントが色々とあります。そのまたお隣り荻窪にはクラシックの音楽祭があり、これもまた盛り上がるのですよ!。という具合で、もう中央線沿線界隈は年がら年中週末毎に人が満杯状態なのです。
ロック、ジャズ、クラシックと音楽が密接に関わり、街それぞれにそれぞれの音楽があり、一年中にぎわっているというのが素晴しいですね。この辺りは正にオールジャンルな音楽の都と言えるでしょう。正に私が住むに値する街だと思っています。こういう街や地域は他にはありえませんね。

150918-s_塩高氏

2015年岡田美術館にて

前のブログでも書きましたが、今年は薩摩琵琶の演奏が多くなりそうです。私の5,6,7月は毎年演奏会がお祭りの如く目白押しで飛び回っているのですが、今までのレパートリーを更にブラッシュアップさせて、とにかく舞台全体を見据えてプログラムを作りたいと思っているので、今はソロ(器楽・弾き語り)とデュオの曲の見直しと、新たな作曲のことが頭から離れません。
これまで色々とやって来て、自分なりに充実した活動が出来たかな、とも思うのですが、私の行く道はまだまだ先があると感じています。だから何か一つ成果が出ても、だから常にNext Oneへと思考が向いてしまうのです。いつかはどこかに辿り着くのかもしれませんが、今はただ歩むのみ。こういう小さな方向転換も、普段から色んなことを考え考え模索して、それらが期を熟して新たな展開として具体的になって来たということです。

5そんな新たな展開の為には、色々なものに触れ、多くの人と会い、話し、あちこちへに出歩いていることが私にとって発想の大きな糧となります。よく散歩しているのも、食べ歩いているのも、皆どれもが明日の舞台に直結している言ってもいいですね。とにかく一つ一つ実体験してこそ想いが湧き上がるというもの。勿論、感動もあればその反対もありますが・・・・。
先日もあるトリオのアンサンブルを聴きいてきました。3人共立派なキャリアをお持ちで、オケなどで活躍しているようでしたが、二重奏や独奏では正直とても聞けたものではありませんでした。中途半端に手慣れてしまったのか、常に謙虚な姿勢で音楽を学ぶということをいつしか忘れてしまっているのでしょうね。残念だったと同時に思わず我が身を振り返りました。
かと思えば、先日Youtubeで観たオーディション番組に出ていた少女の歌にはもうびっくり。アリアを歌っていたのですが、聴いていて涙が出てきました。久しぶりに歌声で心が震えましたね。ああいう飛び抜けた才能を目の当たりにするととても幸せな気持ちになります。そういうものも体験できるのも現代という社会です。

森1

こうして日々色々なものに接することで、想いも膨らみ、我が道も見えてきます。日々の感動がいかに自分を豊かにし、また新たな発想と音楽を生み出して行くか・・・・・。音楽は日々を生きることと同じですね。少なくともこういう姿勢でなければとても音楽は続けていられません。
日常には驚きや感動が満ちています。と同時に自分を振り回すようなネガティブな言葉や出来事も数多い。現実はなかなか厳しいものです。そういう中で音楽は生まれ奏でられているのです。だから清濁溢れる現実としっかり向き合わないことには、音楽は作れません。

ルーテルここ何年か樂琵琶に専念していたおかげで視野が大きく広がりました。薩摩琵琶では体験できない舞台を沢山経験しましたし、シルクロードへの想いが形になって行くのは実に楽しく、新たな仲間も増えました。
また今迄のCDが全てネット配信されたことで、ターゲットが世界に広がったというのは良いことだと思っています。業界や自分の周りの知り合いなど小さな村社会に目が行っている内は、仕事にもならないし活動は広がりません。大きな世界に身を置いて、初めて見えるものがあります。そうやって世界を見てみると、薩摩琵琶の音色は実に魅力的。他には絶対にない音色であり、パーカッシブな奏法もかなり個性的です。特に私の琵琶は低音から高音までのダイナミックスが大きい。そのダイナミックな音色と演奏を世界に向かって弾いて行こうという訳です。

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そして私は永田錦心のスローガンと同じく「民族音楽ではなく、芸術音楽」として演奏して行きたいので、芸術音楽として聞いていただくためには、何よりも楽曲が受け入れられる内容であり、且つクオリティーが高いこと、そして演奏がずば抜けて素晴らしいことも大切です。上手なんて程度では駄目。ずば抜けて凄くなければ琵琶のような珍しい楽器は浸透して行きません。ジミヘンやヴァン・へイレンクラスのインパクトを持っていないと、世界では新しい音楽として注目されないでしょう。せいぜい珍しい民族音楽止まりです。
その上でどうプロデュースするのか。そこが大事ですね。私はエンタテイメントにはしたくない。あくまでアートとして聴かせたい。楽しかったという感想も勿論有難いのですが、それだけでは終わらない、もっと深いものをリスナーの心に残したい。

大それた望みとも言えますが、望みは大きくなくちゃ。
今年も面白くなりそうです。

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